補助金活用し次世代車対応へ整備機器アップデート① 自動車整備機器専門商社バンザイ
市場規模が伸長し、兼業事業者の商機も大きくなりつつある自動車整備事業。ただ、ADAS(=先進運転支援システム)やEV、特定整備やOBD検査など、車両の機能進化とそれに伴う制度変化それぞれへの対応も不可欠となっている。人手不足も慢性化し、「整備の高度化・省力化」が求められる中、バンザイでは補助金の対象になりうる価格・用途の製品も含め、高度化・省力化に資する整備機器の提案、販売を推進している。
【リフト】3.2tへ能力増強、廉価モデルも
2020年の特定整備制度に続き、21年10月からのOBD点検、24年10月からのOBD検査と、ADASの保全を図る制度が相次いで施行された。制度対応に必要なスキャンツールなどの電子制御装置整備機器もさることながら、従前からの整備環境の基幹を成す機器も更新に迫られている。代表的な機器が整備リフト。バンザイでは、大型バッテリーを搭載したEVや機能の高度化に合わせて車両の大型化・重量化が進む中、対応キャパシティを増強した新型リフトへのアップデートを提案。収納時は他の作業を妨げず、使用時は効率的で安定した作業をもたらすシザーリフト型の導入が好調という。
整備に重点を置く事業者に好評なのが、24年4月にリニューアルしたハイスペックモデルの「ワークステージX3.2」。能力を従来の3.0トンから3.2トンに増強。迅速なリフトアップ・軽整備が可能なドライブオン型が特徴で、その機動性はそのままにより幅広い車種に対応した。タイヤ脱着を支援するフリーホイールリフトも、能力は本体同様に3.2㌧。収納時は完全フラットで広い作業空間を確保でき、製品ラインナップとしてはホイールアライメント測定への対応有無、スライドテーブル・スイングアームなどの機能の有無、油圧ユニットの内臓・別置など、細かく24の仕様が設定されているので、事業者の環境に適した仕様モデルを選ぶことができる。
より廉価なモデルのリフトでは、パンタグラフ式の「イーグルNX」も同じく3.2トンの能力で、幅広い車種への対応能力を発揮する。スペースが限られたSSなどを対象に油圧ユニット別置型をラインナップ。スペース・製品価格の両面で導入コストを下げつつも、整備作業に高い安全性、効率性をもたらし、アーム付仕様では対応車両の幅を一層広げることができる。
同社によると、以前はリフトの対応重量が約2.5~3.0トンクラスが主流だったが、車両の大型化・重量化が進む今日、能力を中心にリフトのアップデートを求める整備現場の声は多くなってきている。サイズ・重量面にとどまらず、EV(HV車含む)の普及も、旧型リフトでの整備対応に課題を突きつける。バッテリー交換ではリフト作業時に以前にも増したスペース確保が必要だからだ。仮にEV整備を行わない事業者でも、今日では多くの車両がアンダーカバーを装着している。リフト作業時のスペースの余裕は、EVに限らず整備全般の作業効率を高め、また使用頻度の高い基幹機器だけに使い勝手の良さはスタッフの安全性や士気にも好影響を及ぼす。
【アライメントテスター】光学式採用で時短、省スペース化
特定整備制度の施行以降、エーミング(電子制御装置の調整・校正作業)需要の高まりから四輪アライメントテスターの導入・アップデートも進んでおり、機器の精度や利便性も向上している。バンザイが近々にリリース予定の「ML-Q-Lign(エムエル・キューライン)」は、センサー式に比べて作業時間を短縮できる高精度の光学式ホイールアライメントテスター。前後輪の間にセンサーカメラを設置することで車両前方への機器設置が不要となる省スペース性も特徴の1つで、新型では測定カメラをさらに小型軽量化。加えて無線通信の採用、タブレット端末への対応など、利便性を高めるアップデートが盛り込まれており、作業の効率化・環境の省スペース化に貢献する。
電子制御装置整備やOBD点検・検査など、新たな作業内容が求められる一方で、人手不足が慢性化する中、リフト作業やアライメント調整など従来の整備作業の効率化・省力化も促進する必要がある。
バンザイは、「2人作業が常だったブレーキフルードの交換も、今の交換機なら1人でエア抜きを完了できる。夏・冬用の入れ替えなど繁忙期が明瞭なタイヤ交換では、新型のタイヤチェンジャーやホイールバランサーを導入し、普段はタイヤ交換作業を主に行っていないスタッフが一時的に作業員としてサポートしている用品店もある」(佐野部長)と話す。
【アフターサポート】191ヵ所のサービス拠点でケア万全
リフトをはじめ大型な製品が多い整備機器は、設置時はもとより設置後も現場訪問を前提としたフォローが欠かせない。稼働頻度が高い機器ほど、整備機器自体の保守・維持管理の必要性は高く、万が一の突発的なトラブルでも迅速に復旧できなければ、現場作業の安全性・効率性を下げ、顧客の信用低下にもつながりかねない。
この販売後のサポートもバンザイの強みの1つで、現在は全国に8支店39事業所、191拠点のサービスステーションを展開。販売から導入後のメンテナンス、修理にかけて、一貫して迅速に対応する体制を構築している。
また販売時も、機器の案内、設置にとどまらず、既存事業のスペース・設備・人員を踏まえた提案をはじめ、SSネットワーク維持・強化支援事業費補助金も含めた各種補助金・助成金の活用支援まで、包括的に整備事業をバックアップ。20年の特定整備の制度施行時は、整備振興会や各地の部品商・塗料商などとも連携して精力的にセミナーを実施するなど、必要な機器・情報の提供を通じて整備事業者を下支えしてきた。
そもそも同社は、1920年に創業。アメリカから自動車部品や自動車整備用工具の輸入販売からスタートし、その歴史は100年以上に及ぶ。その老舗ならではの豊富な実績と知見、ネットワーク網は、ディーラー・専業・兼業問わず広く整備事業者に活用されている。
「SSの軒数が漸減する中、コーティングサービス、コインランドリーといった整備業以外での集客やセルフ化が進行し、作業ピットを閉じる傾向も1つの潮流と受け止めている。その潮流に対し、クルマ社会の維持に不可欠な整備・作業ピットを継続する、逆境に立ち向かおうとする事業者を応援していきたい」(佐野部長)と、SSにおける整備事業のサポートにも高い意欲を示す。